YouTuberのヒカルが、落語家・立川志らくの弟子として高座に上がることが発表され、界隈がざわついています。
高座名は「立川さぎ志」。
8月3日に東京・明治座で独演会を開くことが決まり、チケットは一般販売で即日「完全完売」しました。
前座修行を経ていない異例のデビューに、落語界からは擁護と反発が真っ二つに分かれています。
ここでは何が起きたのかを、時系列と双方の言い分で整理します。
きっかけは「タモリはつまらない」発言だった
発端は、4月にヒカルがYouTubeで語った「タモリはつまらない」という趣旨の発言でした。
これに立川志らくが反応し、両者が対談。
話すうちに意気投合したヒカルがその場で弟子入りを直訴し、志らくが快諾したと報じられています。
通常、落語家は前座から二ツ目、真打へと何年もかけて上がっていきます。
ところがヒカルは、その修行過程を経ない「客分の弟子」という立場で、いきなり明治座の独演会に立つことになりました。
この「順番をすっ飛ばした登場」こそが、今回の賛否の火種です。
チケットは3,300円から22,000円 それが即日で消えた
独演会「立川さぎ志 独演会」は8月3日、明治座で開催予定。
チケットは3,300円から22,000円の価格帯で、一般販売はその日のうちに完全に売り切れました。
明治座といえば、格式ある大劇場です。
キャリアを積んだ落語家でも独演会で満席にするのは簡単ではありません。
それを、落語家としての実績がまだ一席もないヒカルが即完売させた。
この事実が、良くも悪くも今回の話を大きくしています。
現役落語家「今、落語家全員が悔しい想いしてる」
真っ先に声を上げたのが、若手落語家の桂空治さんでした。
SNSでこう投稿しています。
今、落語家全員が悔しい想いしてるよ。だって修行も何もしてないYouTuberのヒカルくんが明治座でやる落語会が瞬殺で完売してるんだもん
桂さん自身は、4年間、お盆も正月も土日祝日もなく修行を積んできたといいます。
地道に階段を上ってきた立場からすれば、外から来た人間が一段飛ばしで大劇場を満席にする光景は、複雑に映って当然でしょう。
真打の落語家からも「明治座がこんな人に使わせるのか」「勝つも負けるもない」といった冷めた声が出ています。
ヒカルの反論「はっきり言わせてもらうと努力不足かと」
これに対してヒカル本人が返した言葉が、さらに議論を燃やしました。
はっきり言わせてもらうと努力不足かと。結果と過程は連動していて偶然でも運が良かったわけでもありません
修行の年数が足りないのではなく、世間に届ける努力が足りなかったのではないか、という切り返しです。
ただ、ヒカルは後にこの投稿を「リップサービスのつもり」で、議論を面白くするための引用だったと釈明しています。
狙って燃やしにいった側面もあったわけです。
この立ち回りのうまさ自体が、いかにもヒカルらしいとも言えます。
師匠・立川志らくの狙い「世間に向かって語ってきたかどうか」
渦中の志らくは、ヒカルを迎え入れた理由をこう説明しています。
ヒカルは「毎日世間全体に向かって語りかけ、支持を集めてきた」。
一方で多くの落語家は「自分の客」にしか話しかけていない。
だから「世間に向かって落語をやってきた落語家が、売れるのです」と。
志らくには、落語の敷居が高くなりすぎているという危機感があります。
だからこそ、ヒカルという「異物」を落語界にぶつけることで、これまで落語に見向きもしなかった層を引き込めると踏んでいる。
賛否については「喧嘩をふっかけるのもよし」と、批判すら歓迎する構えを見せています。
この一件、界隈的にどう見るか
落語の作法や修行の重みという話と、集客という話は、本来は別のレイヤーです。
桂さんの悔しさは正しいし、志らくの狙いも筋が通っている。両者は違う土俵で正論を言っているので、かみ合わないのは当然だと思います。
ただ、ヒカル界隈をずっと見てきた側からすると、この構図は既視感があります。
ヒカルはこれまでも、既存の業界の外から入って、そのルールごと空気を書き換えてきた人です。
ボクシングでも、実店舗ビジネスでも、やり方は同じでした。
話題を作り、人を集め、賛否ごと自分の舞台にしてしまう。
今回の落語も、その延長線上にあります。
だから本当に問われるのは、8月3日の本番でしょう。
集客は済ませた。あとは高座で何を見せるか。
ここで「集客だけの人」で終わるか、「落語もやれる人」まで踏み込むか。
そこが評価の分かれ目になります。
界隈としては、当日の高座と、その後の落語家たちの反応まで追いかける価値のある一件です。

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